Liferay DXPのアップグレードは、まず公式の「Deprecations and Breaking Changes Reference」を起点に、経由するすべてのリリース分の変更を確認するのが基本です。このページでは、その進め方と、2026.Q3で公式に挙げられている変更点をまとめます。
アップグレードの起点ドキュメント
起点は Deprecations and Breaking Changes Reference です。ここに年ごとのページがあり、2026.Q3分は「2026 Q3 Breaking Changes」として公開されています。アップグレード元から先までの各リリースのページを順に読み、自社のカスタマイズに影響するものを洗い出します。
| やりたいこと | 見る場所 |
|---|---|
| 破壊的変更・deprecatedの確認 | Deprecations and Breaking Changes Reference(下の出典) |
| 検索エンジンの移行 | Upgrading Search Infrastructure |
| 動作環境の確認 | 各バージョンのCompatibility Matrix |
Elasticsearch 8への移行
- Elasticsearch 8.19.xが対象で、ES8コネクタは同梱されています。2026.Q1以降はES 8.19以上が必須とされています。
- Elasticsearch 7は2026.Q1で非対応となり、2026-01-15がEOLとされています。
- OpenSearch 2.19はMarketplaceのコネクタで利用します。コネクタのバージョンは、Q1.6以降が2.0.0、Q2が2.1.0、Q3.4以降が2.2.0と記載されています。
- Solrは2026年分の項目がありません。
手順は公式の「Upgrading Search Infrastructure」を参照してください。ここでは手順そのものは書きません。
Jakarta EEへの移行
Jakarta EE 10への移行は2026.Q1で完了しており、javaxパッケージがjakartaに変わっています。また、Sybaseのサポートも終了しています。独自モジュールを持つ場合は、パッケージ名の置き換えが必要になります。
2026.Q3の変更点
破壊的変更(公式ページに記載)
| 対象 | 内容 |
|---|---|
| Fragment API | 抽象型になり、BasicFragmentとFormFragmentに分かれた |
| Alternate URL | ローカライズ済みの仮想ホストが優先される |
| FreeMarker / Velocity | propsUtil、portletConfigへのアクセスが既定で制限される |
| ビルドツール | Metal-CLIとSoy Gradleプラグインが削除された |
| Kaleo / Commerce | APIのシグネチャが変更された |
| AI Hub | AIHubCellConfiguration.secret()が削除された |
| Commerce | 出荷関連の権限が細分化された(IDOR対策) |
Deprecated・archived
- Full Page Application、Panel、Widget Page Templates、Widget Pagesがdeprecatedで、移行先はContent Page
- Dialectテーマはarchivedで、Classicへ
- Apache OpenOfficeがdeprecatedで、LibreOfficeへ
- JDK 17、MySQL 5.7、MariaDB 10.4/10.2、PostgreSQL 12/13、SQL Server 2017、DB2 11.1もdeprecated(互換性マトリクスの記載)
Feature Flag
公式の変更一覧では、Feature Flagが約30件追加、約14件削除され、5件がbetaからreleaseに移ったとされています。件数は「約」表記です。個別の名称はここでは扱いません。自社で有効化しているフラグが削除対象になっていないか、公式ページで確認してください。
新しいプロパティ
- cluster.link.jmx.enabled=false
- fips.enabled=false
- enterprise.product.ai.hub.enabled(AI Hub用、既定false)
アップグレード前チェックリスト
- [ ] 現行バージョンと移行先を決め、間に挟まる全リリースの破壊的変更ページを読んだ
- [ ] 移行先のCompatibility Matrixで、JDK、アプリサーバー、DB、OSが対応している
- [ ] 検索がElasticsearch 7なら、8.19.x以上への移行計画がある
- [ ] 独自モジュールのjavax参照をjakartaに置き換える計画がある
- [ ] Fragment、テーマ(Dialect)、Widget Pages等のdeprecated機能の使用箇所を洗い出した
- [ ] FreeMarker/VelocityテンプレートでpropsUtilなどを使っていないか確認した
- [ ] Metal-CLI、Soy Gradleプラグインに依存したビルドがないか確認した
- [ ] 有効にしているFeature Flagが削除されていないか確認した
- [ ] 本番相当の環境で試行し、バックアップと戻し手順を用意した(公式のバックアップ手順は未確認。運用ガイド参照)
なお2026.Q3の.0の正式な公開日とDockerタグは、今回の調査では確認できていません。GitHubのリリースフィードには2026.q3.0が2026-08-12と表示されていましたが、公式のリリース日として断定はしません。
出典
- Deprecations and Breaking Changes Reference
- 2026 Q3 Breaking Changes
- Upgrading Search Infrastructure
- Search Engine Compatibility Matrix
- Liferay DXP 2026.Q3 Compatibility Matrix
- Liferay DXP 2026.Q1 LTS Compatibility Matrix
- liferay-portal releases (Atom)
最終確認日: 2026年10月15日(内容は変わる可能性があります。必ず公式情報も確認してください)